ペピイのペット防災について取材しました!【ひがしなりソケット】

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企業やNPO、区民などさまざまな立場のメンバーが、まちの活性化のためのアイデアを試行錯誤する「ひがしなりソケット」。今回、ペット防災を考えるメンバーが、東成区の企業「新日本カレンダー株式会社」のペピイ事業部に取材に行ってきました!

ドッグトレーナーの吉村です。同行避難など、東成区のペット防災を進める活動しています。ペピイさんに取材ができるなんて光栄です!

介護事業を展開している熊谷です。地域に手の届く「お節介な人」を増やし、ネットワークにしたいと思い、町会に関わったりアプリ開発をしています。ペット防災に取り組む吉村さんも「お節介な人」だなと思い、協力して活動中です。

94年に新卒で新日本カレンダーに入社し、ペピイ事業部を担当している平尾です。よろしくお願いします。

※吉村さん・熊谷さんの2020年9月28日時点の取り組みはこちら

時代の流れに合わせて、
カレンダー製造からペット事業へ!

1922年、大阪市にてカレンダー・団扇の製造を目的として個人創業。1947年に「新日本カレンダー株式会社」に社名を変更し、今では日めくりカレンダーの国内シェアは70%、企業の名入れカレンダートップシェアを誇り、2年後には創業100年を迎える東成区の老舗企業です。

その昔、カレンダー事業は米屋や酒屋に代表される、「サザエさん」の三河屋さんのような、各家庭に訪問する商店の店名を印刷する、名入れ販促物として主に展開していましたが、時代と共に主要顧客の形態が変化し、需要も減退しつつありました。
そこで、当時拡大傾向だったペット産業への参入を視野に、動物病院に名入れカレンダーの提案を行ったことがきっかけで獣医師団体との取引が始まり、先生方のご協力を得て、ペット用品通信販売事業として「ペピイ事業部」がスタートしました。

―当時は、ペット飼育に関する基礎知識が浸透していなかったそう。ペット用品はホームセンターで無造作に並べられ、ワクチンを打つ必要性についての認識もなく、手放されるペットも多かったんだとか。

まずは、動物病院で販売するカタログを作成。ネットが普及していない時代ですから、ペット飼育に関する情報を掲載しました。翌年には動物看護師を育成する学校も立ち上げ、動物医療・飼育など、ものを売るだけでなく動物の生活サポートをしています。

出展:新日本カレンダー株式会社:ペピイ・ハッピープレイス

最近では、ご高齢の方が介護を受ける際にペットを手放す必要が出たり、介護現場で対応に苦慮する事も多くあるそうです。そこで2年前から、「ペット共生型有料老人ホーム PEPPY HAPPY PLACE」を開設しました。

―1Fにはガーデンやカフェがあり、動物診察室、屋上にはドッグランもあるんだとか!

出展:新日本カレンダー株式会社:ペピイ・ハッピープレイス

ペット防災に関する情報発信

防災に関しての取り組みは、主に情報発信です。動物病院に設置している「ねこ・いぬの幸せを叶える通販BOOK」に、防災も含めたペットに関する取材記事を掲載しています。

取材を通じて知り得た情報を元に防災袋「オリジナル防災スターターセット」を商品化しました。防災セットは、アレルギーや好き嫌い含め、飼い主さんが「うちの子にとって役立つか?」を考えて作る必要があります。基本形のセットだけを販売しているのですが、袋があるだけでも「準備しよう」という気持ちになりますよね。


出展:新日本カレンダー株式会社:防災グッズを再確認してみませんか?

去年販売を開始したのですが、半年で完売し増産しました。特に動物病院で目にされる冊子ですし、万が一に備えて買っていただけています。愛読いただいている方は、防災に対する意識を高めてくれたのではないでしょうか。

公的機関・獣医師会と連携して被災地支援

物品支援については、全国各地の獣医師会・動物病院・公的機関と連携して支援しているそうです。

ペピイ設立まもなく発生したのが阪神淡路大震災です。獣医師さんがボランティアで救護を行い、動物がシェルターに保護される事例も出てきました。ペットの助け方が一般に知れ渡っていなかったり、法的整備が足りていなかったり…失った命や不幸な事故もありました。
東日本大震災では、ペピイが初めて物的支援に参加。震災発生2日後には、私も現地へ飛び、動物病院と連携しました。

―どのような体制で支援されているのでしょうか?

災害が発生するとまずは人命救助が優先されますが、各自治体の定めに従い動物救護本部という実働部隊が設置されます。
多くの場合、行政機関と協定を結んだ獣医師会などの動物関連団体がその運営主体を担い、地域団体とも連携して、救援物資や情報提供などの動物救護活動を行います。
大阪では府、市それぞれが各獣医師会と協定を結んでおり、(公社)大阪市獣医師会の事務局は当社敷地内に本部事務局を構えて頂いております。

民間や地域団体との連携はどうされているのですか?

民間・地域団体との連携のお話もいただくのですが…。避難所で動物愛護団体と称して血統種のペットだけを預かり、そのままペットが返ってこなくなるという事件も起こっており、ペピイでは、動物愛護センターや獣医師会などの公的機関との連携に拘って支援させて頂いています。

私達には何ができる?

日頃、区民には何ができるのでしょうか?

「動物の社会化」が必要だと思っています。プライベートのパートナーとしての動物ではなく、社会の一員として受け入れられる存在にしてあげること。イベントに連れて行ったり、散歩の際に交流したり、パトロールを担ったりして、地域コミュニティに参加してください。その際に、飼い主の振る舞いやマナーは重要です。社会の一員になっているかどうかで、緊急時の対応も変わってくると思います。

町会にできることはありますか?

獣医師などの専門知識を持った方と一緒に、地域でのペットとの暮らし方について考えてみるのもいいかと思います。単にペットも参加できるイベントや、人との接触を増やすだけでは、思わぬ事故やペット自身のストレスにもなり兼ねませんので、それぞれの地域やペット達に合った形で取り組むべきと思います。ペピイでも様々な情報を発信していますが、各地域の動物愛護センターに相談すれば、専門家の意見を聞く事もできると思います。

―飼い主はペットを社会参加させること、きちんとした知識・スキルを持った方に参加いただくこと、情報発信をして広く伝えていくこと。それぞれがそれぞれの役割を全うして連携していくことが重要なんですね。
また、時代の流れに合わせたカレンダー事業からペット事業への拡大という点に置いても、大変勉強になりました。平尾さん、ありがとうございました!